2015年4月4日土曜日

フロリゲン


高野川のソメイヨシノ
桜が満開の時期を迎えている京都にいます。

開花を促す植物ホルモン「フロリゲン」。その存在は70年以上前に提唱されていましたが、そのメカニズムが解明されたのは比較的最近で、奈良先端大・(故)島本功氏(享年63)のグループによって行われました。先生は2013年秋に亡くなりました。

先生はイネの研究者でした。桜をはじめ多くの植物が冬から春へと日が長くなる頃に花を咲かせますが(長日植物)、イネは夏から秋へと日が短くなる頃に花を咲かせます(短日植物。他にコスモス、キクなど)。先生は亡くなる前年に紫綬褒章を受章されていますが、受賞についてはどちらかというとイネを研究材料とした実用的な研究実績の貢献が大きかったのではないかと思います。そのようなキャリアを歩まれた先生が、晩年に「花を咲かせる」という実用というよりアートな現象において、かつそれに関しては決して花形役者ではないイネを用いて大きな業績を残されたことは我々に何かを教えているような気がします。
賀茂川(半木の道)のしだれ桜

先生は、私が在学した当時(1996-1997年)の大学院の講義において、「俺もノーベル賞取っても良いと思うけど」と 、半ば冗談交じりに、しかしご自身の実績に自負を持たれて話されることがありました。研究者というより、個性の強い実業家といった雰囲気がありました。


桜をはじめ様々な植物が花を咲かせるこの季節。63歳という今の時代には早すぎる死を迎えた先生のことを思い出しながら、いささか燃え尽きた感と憂鬱感に苛まれていた自分の心の洗濯を済ませ、明日、また関東に向かいます。