題記の小話をご存知だろうか。
ある、貧しい夫婦が何かの記念日にお互いにプレゼントを渡すことにした。夫は妻の美しい長い髪につける飾りを、自分の時計を質に入れて買った。一方の妻は、夫の時計のベルトが傷んでいたので、自慢の髪を切って売って時計のベルトを買った。いざ、その記念日を迎えると、使いみちのない贈り物がそれぞれの手元に残った。
お互いの思いやりがすれちがってしまう小話は、出典不明のまま、私の心の中に残っていた。それがO・ヘンリー短編集であることを知ったのは、たまたま読んだ地方紙のコラムだった。
O・ヘンリー短編集といえば、長男が学校の英語のサイドリーダーとして読んでいた。正確には読まされていた。それを思い出した私は、長男に「O・ヘンリー短編集読み終わったか?」と訪ねた。もう読み終えて、次のサイドリーダーを読んでいるという。上記の話はあったか?と尋ねると、ああ、あったわ、と言った。
O・ヘンリー短編集が、我が家で世代を越えた名著になった瞬間だった。長男も次男も、未だに私の本棚の本には興味を示さないままではあるが。
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