お便りをもらったゆかりの地を訪れて、「あー、これだね。変わってないね」という趣旨なのか。東日本ではなく西日本を回るのだとすれば。東日本は大震災でだいぶ国が破れてしまった。そして、この立て続いた台風でもだいぶ山河も変わったことだろう。
既に鬼籍に入られたある知識人によると、松尾芭蕉の「奥の細道」の主題は、「山河は変わってしまうが、文章は変わらない」というものらしい。奥の細道が書かれた時代も、自然災害は多かったことだろう。それでも、書き残されたものが変わらないということの素晴らしさを述べているのだという。間違っても、適当に東北を巡って、ときどき俳句を詠んでいるだけのものではないらしい。
その知識人、実際は小説家であるが、自身も、史料の現地を訪ねた際に、その当時とまったく変わっていない場合は、逆にがっかりするのだという。変わり果てた風景の中で、かつてそこでどのようなことが行われていたかに想像をめぐらせるほうが知的活動としては高度なのだそうだ。
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