2019年11月15日金曜日

次のステージへ

ラグビーのワールドカップは南アフリカの優勝で幕を閉じた。予選グループではニュージーランドに敗戦したものの、決勝トーナメントを見事に勝ち抜いた。いくつかの優勝候補がいた中で、まるでジャンケンのように、相性や組み合わせの”あや”によって、結果的には南アフリカに栄冠が輝いたように思う。


U2のこのミュージックビデオを観る上では、アイルランド人が背負ってきた歴史的宿命を考慮したほうがいいだろう。国家はイギリスに支配される時代が長く続いた。一方、アメリカ大陸に移民した者たちは白人社会の最下層に位置し、黒人差別において最前線で殺戮に近いリンチのような行為を行ったのは、アイルランド移民だったという。

アフリカの一部で発生したHIVがアフリカ大陸全土に蔓延したのは、アフリカを縦断する高速道路が整備されたことも一因だという。高速道路のパーキングエリアにいたセックスワーカーを介して。一方で、WHOをはじめ様々なNPOや非営利のファンドが感染症の撲滅に向けて様々なプログラムを展開してきた。

その中心的な位置に、WHOのPrequalificationという制度がある。これは、自国に医薬品や医療機器・体外診断薬の審査制度をもたない途上国に代わり、WHOが代理で審査を行い、承認を与えるものである。この制度の恩恵をうけるのはアフリカ諸国に限らない。ちなみに、アフリカ諸国で自国の審査制度を持っている国は、ナイジェリアと他数か国ではないだろうか。

このWHO Prequalificationという制度は、長らく感染症を対象に医薬品や医療機器の審査が行われてきた。途上国が真っ先に克服しなければならないのが公衆衛生の向上であり、感染症の治療と予防である。一部に、その成果が見られつつあるような報告もある。南東アジア(インド等)で、結核の感染率が低下しているという報告もある。

途上国の感染症の克服は、まだ完全には終わっていない。しかし、WHOは先日、インシュリンをこのPrequalificationの対象に加えると発表した。途上国に対しても、糖尿病の治療薬の供給が取り組むべき課題と判断したようだ。今後、さらに多くのバイオ医薬品、別の言い方をすると感染症が対象ではない、先進国で普及している抗がん剤等が対象となってくるのだろう。2019年は、WHOの取り組む課題が次のステージに移行しつつあることを感じた年となった。

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