前回のエントリーが「感染症との戦いはほぼ終わった」的なニュアンスだったので、この新型コロナウイルスの流行には、個人的には多少、冷水を浴びせられた感がない訳ではない。
今回の新型コロナウイルスの流行は、戦いの真っ只中であり、今後の展開は余談を許さない。総括するには時期尚早であるが、私のいる業界界隈からの視点では「感染症ビジネスの復権」といえるだろう。一方、もっと大きな視点では、「世界が近くなった状況下で、いかに地球規模の問題を解決に導くか」ということなのだと思う。
本邦においては、公衆衛生の向上により抗生物質メーカーが儲からなくなって久しく、2000年頃を境に経営が傾いた抗生剤メーカーが相次いで生活習慣病を得意とするメーカーと合併して以降、現在、抗ウイルス薬を開発できる企業がどれだけ残っているのだろうか。
一方で、もうオワコンと思っていたビジネスが復興することは、必ずしも悪いことではないのかもしれない。先進国における医療のトレンドが、1回◯千万円または◯億円というような先進医療に傾倒していく傾向にあった中で、今回のように、途上国や、言葉は悪いが野蛮な国から発生し、世界中に拡散するパンデミックが存在する以上、我々は依然として抗ウイルス薬や抗菌薬を得意とするプレーヤーが必要だということを改めて知らされた思いでいる。それはもはや国内メーカーである必要はなく、世界的なグローバルカンパニーで構わない。
例えるならば、今日の世界の中では日本はかつての「美濃」の位置にあり、中国が「駿河」でアメリカが「足利幕府」くらいの関係性かもしれないのだから。
今回ほど、あるひとつの課題に各国が一丸となって立ち向かわなければならないと感じたことは過去にあっただろうか。地球の温暖化、海洋汚染、エネルギー問題から北朝鮮のミサイルまで、我々の生命に関わることとして切実に捉えたことはなかったのではないか。
今回のコロナの副産物として、世界が地球規模での課題に対して真摯に向き合うようになればいい。
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