今回、訪れた場所は、秦の後、「楚」と呼ばれた地域である。「四面楚歌」の楚である。「項羽と劉邦」の中で、楚(西楚)の項羽が漢軍に囲まれた際、周囲を囲んだ漢軍が、項羽の国である楚の歌を歌うことで項羽が既に味方も敵に寝返ってしまったと勘違いしてしまうという故事の国。
旧日本軍が、その「旧・楚」の地において当時の国際法で禁止されていた毒ガスによる攻 撃を行ったということを知ったのは、そこを初めて訪れた直後の8月のお盆の番組であった。その事実は、極東裁判の頃には米国には知られていたが、もしもそ れを裁くと将来的にアメリカが毒ガスを使うことが出来なくなるということで伏せられたという。
かの国の人はその事実を知ってか知らずか。あるいはその事実を知っていたとしても、古くから国取りの権力争いには慣れていて、それも致し方なしと諦観の思 いでいるのか。国際法とは言えども、戦時中である。致し方ないという思いはこちらにもないわけではないが、一方でその毒を製造する国内の製造所の状況も悲 惨であったことは事実である。
過去を綺麗に清算することは出来ないのかもしれない。しかし、時間の流れはとどまることなく、現代を生きる我々は幸いにも戦争をする必要はなく、ビジネスを通した協調・共栄の時代の中にいる。少なくともそのことを幸運としたい。
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