2025年11月23日日曜日

インドにおけるUnknown OSの正体

Source: StatCounter Global Stats - OS Market Share

 上の図に示されるように、インドにおいてはWindowsのシェアが徐々に低下し、現在では総数としてはUnknownがトップです。その主体はインド政府が開発したBOSS GNU/Linux(DebianベースCinnamonデスクトップ)であることが予想されています(何らかの理由でLinuxとしてカウントされていない)。

昨今の日中の政治的摩擦は、どうしても日本が米国の威を借りて強気に出ている点が否めないため、私個人としてはかっこ悪いことこの上ないと感じています。

では、日本は対米従属から脱却できるのか、一例としてPCのOSでさえ米国に依存しきっているのに・・・というところから、過去に日本ではTRONという国産組み込みOSを教育用に普及させようとして頓挫したというケースを聞いたことがあったので、この機会に調べてみました。

以下、Geminiによる。

TRON(トロン)、特にパソコン向けのOSであるBTRONが日本の教育現場で普及しなかった理由は、単一の要因ではなく、**「日米貿易摩擦という政治的圧力」「Windowsの爆発的な普及という市場の力」**が複雑に絡み合った結果です。

当時の状況を整理して解説します。


TRONが教育用OSとして普及しなかった主な理由

1980年代後半、日本の学校教育に導入するパソコンの標準規格として、TRON(BTRON仕様)が採用されることがほぼ決定していました。しかし、以下の要因によりその計画は頓挫しました。

1. 日米貿易摩擦と「スーパー301条」の標的化

これが最も直接的かつ決定的な打撃となりました。 1989年、アメリカ通商代表部(USTR)は、日本の独自規格であるTRONを**「貿易障壁(非関税障壁)」候補**としてリストアップしました。

  • アメリカ側の主張: 「日本政府が学校教育にTRONを指定することは、アメリカ企業(マイクロソフトやIBMなど)の参入を阻害する不公正な貿易慣行である」

  • 実際の影響: 当時はジャパン・バッシング(日本叩き)が激しい時代でした。松下電器(現パナソニック)などのメーカーは、アメリカ市場でのビジネスへの報復を恐れ、教育用TRONパソコンの製造・販売から撤退せざるを得なくなりました。

  • 結果: TRONは「政府調達の対象外」とされ、教育現場への導入計画は白紙撤回されました。

注記: 後にアメリカ側は「誤解があった」としてTRONを制裁リストから外しましたが、その頃にはすでにメーカーが撤退し、時機を逸していました。

2. 「デファクトスタンダード(事実上の標準)」の敗北

TRONが政治問題に巻き込まれている間に、世界のPC市場は劇的に変化しました。

  • Windowsの台頭: 1990年代に入ると、MicrosoftのWindows 3.1Windows 95が登場し、世界的な覇権を握りました。

  • PC-9800シリーズの存在: 当時、日本のPC市場はNECのPC-9800シリーズが圧倒的なシェアを持っていました。NECなどの国内メーカーにとっても、ハードウェアごとの違いをなくして共通化を目指すTRON構想は、自社のシェア(既得権益)を脅かす存在でもありました。

3. 教育現場と保護者のニーズの変化

導入計画当初は「子供にも使いやすいOS」としてBTRONが評価されていましたが、Windowsが普及するにつれ、現場の声が変わりました。

  • 「実社会で使われているものを」: 保護者や教師から、「学校独自のものではなく、社会に出た時に役に立つWindowsやMacを教えてほしい」という要望が強まりました。

  • ソフト不足: 普及しなかったため、教育用ソフトウェアの開発会社もTRON向けの開発を行わず、Windows向けのソフトばかりが増える「鶏と卵」の状態に陥りました。

今回の調査は以上です。

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