ヨットという乗り物はイギリスで生まれたと思っていたが、14世紀のオランダらしい。それを知ったのは例のシリーズの「オランダ紀行」。フライング・ダッチマンという種類の二人乗りの小型ヨットは、1990年代初めまでオリンピックのヨット競技の一つでもあったようだ。
その本の前半は、オランダの風土や国としての成り立ち、周辺諸国との関係などが述べられているが、終盤は画家・フィンセント・ファン・ゴッホの生涯について傾倒してゆく。
ゴッホといえば「ひまわり」で知られた画家であるが、生前は無名であったらしい。そして、オランダ史には文学の巨匠は少ないが、「文学をフィクションに限定せず、”文章という知的な道具によって描かれた感性の体系”とすれば、ゴッホの書簡集はオランダ文学の最大の収穫」とのこと(ワイド版の318ページ)。ドナルド・キーン氏が日本の日記文学を高く評価するのも、そのような観点からなのだろう。
初期のゴッホは働く人を描くことが好きだった。まるでミレーのようだな、と思いながら読みすすめると実際にミレーの作品を模写していたようだ。書簡にも「ミレー的な感じ」(第372信)と触れられているとのこと。
そして浮世絵に影響を受け、「ひまわり」を描くようになる。ゴッホの生涯からみると、その明るさは例外的だ。
新宿に東郷青児美術館という損保ジャパンが運営する美術館があり、日立系列にいた頃、たまにチケットがまわってきていた。損保ジャパンも日立も「芙蓉グループ」という旧安田財閥に属し、関係が深い。団体割引の生命保険や車の任意保険などで世話になったりする。
その美術館にもゴッホが描いた「ひまわり」のうちの一つが常設展示されていることは以前から知っていた。しかし、チケットはいつも誰かにあげていて見に行った事はなかった。いつか、行ってみることにしよう。多分、これまでとは違った印象でみることだろう。
その前に、先週末から始まった神田の古書まつりでタイトルの書簡集を探してみるかもしれない。
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