2015年10月11日日曜日

TPPの舞台裏

他の分野は知らないが、バイオ医薬品をめぐるTPP交渉の舞台裏を少しだけ知る機会を得た。

バイオ医薬品のデータ保護期間は8年で合意した旨の報道がなされ、これについては「大手の製薬会社が優遇されている」という向きのとらえ方もあるが、当初、米国側からは12年間とする提案がなされていた。そして当の大手製薬会社の業界団体(米国研究製薬工業協会(PhRMA)および米国バイオ産業協会(BIO))の受け止め方は「協議に負けた」との見解である。

従来、医薬品の保護期間は販売後だいたい10年位かなという印象だったから、12年というのは少しだけ権利の延長を主張してきてるかな、というのが個人的な印象だった。それが8年で妥結したと言うのは、上記の団体にとっては従来よりも逆に保護期間が短いという印象だろうな、というのは否めない。

この交渉については、米国とオーストラリアが対立していた旨の報道がされているが、実際には背後にいるのは利害が対立する業界団体同士であり、これらの国は代理で交渉しているに過ぎない。そして、米国内にも12年とする提案に反対する業界団体は存在し、米国政府は賛成派・反対派双方の団体からロビー活動を受けたことだろう。また米豪双方に拠点を持つ多国籍企業においては、双方の政府にロビー活動したとというのが実態だろう。

結局、協議に負けたかたちの米国にとっても、最後は「国民にとってどちらのほうが有益なのか」というのが判断の拠り所だったのではないか。

日系企業にとっても、交渉に積極的に加わらないながらも興味津々だったとは思うが、例えるならば関ヶ原の戦いで徳川方が勝つか石田方が勝つか、離れたところから趨勢をうかがっていたら以外にも石田方が勝ったという感じではないだろうか。

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