パール・バックによる「大地」は全部で4巻(第三部)まであるが、個人的には1巻(第一部)だけでも得るものがあるのではないかと思っている。清朝末期の小作農から這い上がった王龍一家の栄枯盛衰物語であるが、第一巻の中で、その妻・阿蘭は農奴の出身で器量は良くないながらも、賢く、甲斐甲斐しく働く。
日本で言うところの「おしん」のような役柄と思うが、おしんのアイデアもそこに由来し、そのオマージュなのではないかとも思ったりもする。そのような人格を、西洋人である作者が、綿密な観察眼を持って作り上げたところに意味があると思う。
古い本を読み返していると、冒頭に「アジアが自らを知るためには、欧米という「照明具」がいる」というくだりがあり、上のことを思い出した。
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