2021年10月17日日曜日

紫芋の功罪

 私が幼かった頃にはなかったが、その後に取り入れられた作物の一つに紫芋というのがある。

一時期、安納芋が着目されるまでは珍しがられて売れていたと思う。定量的な数字はもっていないが、一時期、B to BまたはB to Cの作物として貢献した。

一方で、ある時期から、地元でとれる落花生が紫色がかるようになった。実家から送られてくる落花生が、すべて紫がかったものになった。

最後に以前のように茶色い落花生を食べたのは、記憶にあるのは2003年の夏である。

まだ、次男が生まれる前に、家族で阿字ヶ浦の海水浴場に行った。初めて海を見る長男。お祝いでいただいたファミリアの帽子をかぶっていた。もっとも、いただいたものはサイズがあわず、当時、まだ営業していた西武百貨店のファミリアの店舗に相談して、合うサイズに交換していただいた。

その際に、おやつとして実家から送られてきたゆでた落花生を持参したことを覚えている。

一般に全国的に流通しているものは、炒った落花生である。ゆがいた落花生は日持ちしないため、生産地でしか、かつ生産者でしか入手できないのではないだろうか。ここ茨城・千葉エリアは全国でもトップの落花生の産地であることから、おそらく我々が持参した落花生も地元でとれたもののように思われ、特に奇異にみられることもなかった。

これは私がこれまで学んできたことから推測する域をでないが、紫芋の色素をつかさどる遺伝子が、トランスポゾンで落花生に水平移動したものだと思っている。

であるから、先に結論をいうと、もしもこの記事を茨城・千葉のサツマイモ生産者がみているとすれば、念のために紫芋には手をださないほうが賢明だと思われる。糖度を下げて乾燥させた紫芋は、あるいは干し芋にすると見栄えがよいのではないかとの期待がわくかもしれないが、場合によっては落花生を台無しにしてしまう。

もう、私の地元でとれる落花生はそのような紫がかったスカスカの落花生しかできなくなってしまっているかもしれない。一度、放射能で汚染された土地のように、その土地が元の茶色の落花生を取り戻すには、膨大な時間がかかるのではないかと懸念している。

2021-11-13追記

その後、NHK WORLDにて放送された番組によると、日本で流通する落花生の9割が輸入品(原産国は不明。商品に記載されているだろう)。かつ、国産(1割)の9割は千葉県八街市にて生産されているとのこと。

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