2021年10月4日月曜日

あの匂いを形容するための例えの変遷

 先日、コジマの閉店セールで店内を物色するまで、最近のバリカンコーナーがこれほど充実しているとは思わなかった。いつ頃からだろうか。想像するに、七三分けのツーブロックが散見されるようになってからではないかと思う。

刈り上げは鮮度が肝心。常に刈られた状態を維持することが必要である。だとすると、シェービング並みの頻度で刈る必要がある。そうした背景から、シェービング業界がヘアカット業界に殴り込んできた。名称もバリカンではなく「トリマー」というカテゴリーを創設。シェービングもヘアカットもできるという代物である。

普段、ツーブロックにすることもなく、また自分で髪を切ろうとすることもない人には気づかない時代の変化である。

昔の理容(床屋)は最後の顔剃りで温めたおしぼりを顔と襟にあて、白い乳鉢のような皿に刷毛でシェービングクリームを混ぜて塗っていた。あのクリームと同じ「匂い」のシェービングクリームは売っているのだろうか。私は普段、ジレットのシェービングフォームを愛用しているが、ジレットやシックの製品ではあの匂いとは異なる。おそらく、使用している界面活性剤が異なるのだろう。

唯一、それに近い匂いを感じた製品がある。車のシートクリーナーのスプレーである。あの、床屋の厚い合皮のシートの待合ソファを思い出させる匂いを放つ。車のシートクリーナーなどそう頻繁には使わない。保管している間に缶がさびてきた。使えなくなる前に使い切ろうとして、最近は毛足の長い絨毯のそうじに使っている。そのたびにあの昔の床屋を思い出す。

1000円カットでは顔剃りはやらない。また、美容室は業態として顔剃りはできないと聞く。1000円カットが出てきて久しく、また、昨今はトリマーの登場でセルフカットが増えるとすると、昔からある青白赤円筒が表でくるくる回っている理容店がなくなれば、あ の顔剃りの匂いも絶滅する。

もしかすると、あの匂いは床屋の顔剃りの匂いではなく、車のシートクリーナーの匂いに変わってしまうのかもしれない。

 

1 件のコメント:

  1. その後、ジレットのフォームは値上がりしてしまったので、ニベア&/or シックのフォームに変えました。

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