次男が生まれる前、里帰り出産するまでの定期的な健診に訪れていた産婦人科は数年前に分娩をやめてしまった。その近くに、老健施設を併設したペインクリニックが開業した。聞くところによると5年前の開業とのことだ。今回、持病の首が悪化した妻をそこへ連れて行った。
20年ほど前、大学生の頃、同じ部活の医学部の同期が診療科を選ぶ際に、「麻酔科は暇だ」というような話も聞いた。当時、それが理由で麻酔科を選ぶドクターはいなかっただろうが、今や大学病院をはじめとする大病院に勤めた後で、開業を検討する際に採算が見込める診療科の一つが麻酔科(ペインクリニックとして開業)ではないだろうか。うちの近所に開業したペインクリニックも、かつてがんセンターの麻酔科長を務めた人だという。
がんの疼痛や高齢者の関節痛(変形性関節症)などのニーズから、ペインコントロールの重要性が高まってくることは予想されていたが、実際にフィールドにおいてもそれが確認できるようになってきたということだろう。薬自体は古い薬でも、投与方法(インフュージョンポンプを体に埋め込む医療機器)や投与部位(星状神経節ブロック)が進化することで新しい治療法が確立されていることも知られている。
帰りがけに、その近くにある古びたショッピングモールに寄った。つくばエクスプレスが開通する前からある小じんまりとしたモールだが、空きテナント(スペース)が目立つ。我々がそこを訪れるのも、おそらく震災後に水を買いに来て以来だろう。駅周辺や高速のインター近くに新しい店舗が出来て、古くからある店がバタバタ潰れていく姿はこれまでも見て来た。店主のこだわりで無くなった商品もあった。スフレ、メープルシロップのラウンドパン・・・
妻が処方された薬の中に、かつて勤務した会社の収益を支えた製品のジェネリックがあった。私が在籍した頃にその効能追加の評価を行っていたが、それから既に15年は経っているのでジェネリックも出ていて不思議はないのだろう。そして私が学生時代に学び、最初にビジネスとしてかかわった分野は間違いなくレガシー産業化していく。私が仕事で中国を頻繁に訪れるようになったこともその一端なのだろう。