2015年8月23日日曜日
夏祭り2日目
祭りの喧騒を遠くに聞きながら、「街道をゆく 十津川街道」を読む。
p74-75から引用。
一説によると、十津川郷には外界から貴種の者が訪ねてくると、御胤をいただきたい、として、その家の娘を夜の伽にはべらせる風習があったとされる。(中略)東アジアの中では近親近縁結婚を普通としてきた日本だけが異風で、このために右のような民俗も、必要上、ごく自然にできあがったのかもしれない。
この作品は昭和58年(1983年)に書かれたものである。そして、上記の話を聞いたのは昭和20年代とのことである。十津川に限らず、戦前には日本各地で似たような風習が残っていたかと思われる。
同じ地域を扱った作品に「天河伝説殺人事件」(1988年)があり、本で読んだのか映画で見たのか忘れたが、その作品にも上記のような民俗を感じさせるものがあった。私の中での日本の伝統的な夏祭りのイメージは、そのような民俗が多分に含まれたものだ。もっとも実際にそのような祭りに立ち合った経験は(残念ながら)無いが。
平成となって四半世紀が過ぎ昭和が遠くなった今、これらの作品が書かれた当時も(さすがにこのような風習はのこっていないにせよ)現代と比べればそのような雰囲気がより豊富に漂っていた事を思い出す。
現代の抱える問題の中で、科学の進歩と民俗の土着性の喪失が相乗して、それを鋭利化しているものがあるように思う。 それを解決するものは何なのか。それもやはり科学なのか。あるいは社会保障制度なのか。
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