中国・浙江省に出張の予定があるので、「街道をゆく 中国・江南のみち」を読み始めた。この巻の私なりのサブタイトルは「お茶の話」だ。ちなみに「ニューヨーク散歩」の巻は「ドナルド・キーンがどうして日本文化と出会ったか」で「本郷界隈」の巻は「夏目漱石論」である。
英国がインドから紅茶を輸入していることと、かつて中国にアヘンを売りつけたことはよく知られている。英国は、紅茶をインドから輸入する以前は莫大な量のお茶(紅茶)を中国から輸入していて、その対価を銀で支払ったので銀の流出がおびただしかった 。それを緩和するためにバーター品(布類)の輸出を申し出たが中国が拒否したため、結果的にアヘンを売りつけて銀を回収することとなった。
ということをこの巻で知った。
今日、国家が前面に出てそのような暴挙を行うことは一部をのぞいて稀ではないか。薬害エイズや子宮頸がんワクチン、車のリコール問題など、国境を超えた活動の主体は企業ではないだろうか。
かの英国ではラグビーのワールドカップが開幕し、10月末までその賑いが続く。ラグビーの代表資格に関しては国籍の縛りが比較的緩く、一部に違和感を抱く意見もある。しかしEUにおける国家間の運命共同体的な動向や、タックス・ヘイブンを取り巻く企業活動の有り様を見ると、国家というものが20世紀型の統治システムであり、ゆるやかに衰退していくのではないか、という気もしないでもない。
一方で、であればこそ民族的な風習や風土というものは尊重され保存されるべきである。私は上記の「街道をゆく」シリーズにもそのような主張があるように思う。
そのような視線で南洋の出場国の試合前のハカの儀式を眺めると、ラグビーというスポーツの持つビジョンというものが代表資格の基準にもハカのパフォーマンスにも現れているのではないかと思う。
以下、余談。
緑茶も紅茶も植物としては同じもので(知らなかった)、緑茶の葉の発酵が進んだものが紅茶。お茶は奈良~平安初期に中国(唐)より日本に伝わり、江戸のある時期に発酵止め(青製というらしい。青さを維持する。栄養価も維持される)の加工法が進歩した。
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