2016年2月14日日曜日

The English Patient

若かりし頃に背伸びして読んだ小説を、もう一度、読み直してみようと思い、図書館で「イギリス人の患者」(新潮社)を手にした。訳は土屋政雄氏だった。

24、5歳の頃だったと思う。映画化された作品も観たが、当時、ペーパーバックを買い、原書で読もうとしたことを覚えている。翻訳を読んでみると、当時の私の読み違いにもいくつか気づいた。

映画では、飛行機での自爆行為に及ぶ夫が妻の不倫にリアルタイムで気づいているような進行だったと思うが、原作(小説)ではその恋は理性的な判断により終えられた後で、しばらくして何らかのきっかけで夫が気づいたという設定だった。当時、原書で読んだ時には気づかなかったが、恋が終わった後、飛行機事故に遭遇するまでの男(イギリス人の患者)の心の葛藤の描写が秀逸だと思った。当時、気づかなかったのは、英語力に問題があったのか、あるいは人生経験が不足していたのか。

砂漠での共同生活という特殊な環境で生じてしまった過ちが悲劇を招いたのか。あるいは単に夫の病的な不寛容さが招いたものだったのか。飛行機での自爆行為で即死した夫に代わり、妻を看取ることになった男(イギリス人の患者)は、実はハンガリー人だった。ハンガリーには、今日でもドイツ車の工場が多く存在するように、すなわち男はドイツ側の人間(スパイ)としてずっとマークされている人物だった。ハンガリー人はアジア人の血を引くとされる。スリランカ人の作者が、そのような背景も考慮に入れていたのかどうか・・・

では、今日はこの曲でお別れです。今日は春一番が吹き荒れ、温かい一日となりましたが、明日はまた冬日に戻り、冷え込むそうです。東京砂漠で風邪など引かぬよう、ご自愛下さい。



余談ですが、ご近所の厩舎の方が前川清の愛馬「コイウタ(恋歌)」を飼育(管理)されておられるそうです。




0 件のコメント:

コメントを投稿