2023年5月28日日曜日

屋久杉と馬毛鹿

 ブラタモリで「屋久島」が取り上げられた。来週は「種子島」とのことである。

ブラタモリは地質学からの視点が強い番組だが、その土地の歴史に振り返る価値がないと採用しにくい番組だろう。純粋に地質学だけの興味では、番組が成り立たない感じがする。

屋久杉は、その苗を本土なりほかの土地に持って行って植えると、普通の杉にしかならないという。その個体形成において、遺伝的要因よりも環境的な要因のほうが大きい一例かも知れない。屋久島は花崗岩でできている島らしいので「石上花裁」の状態なのだろう。

一方、馬毛鹿は、ニホンジカの中でも独自の遺伝子型をもつ集団となっているようだ。ニホンジカはミトコンドリアDNAの塩基配列から系統樹を描くと、山口県を境に北部と南部に分けられ、南部のシカのほうが中国のシカと近くなるようだ(文献1)。この系統樹に馬毛島が出てこないのは、もしかするとミトコンドリアDNAも独自に進化してしまっているのかもしれない。種子島が出てこないのは、馬毛島のシカと交雑しているからだろうか。

ブラタモリ「種子島編」の予告で、砂鉄をとるシーンがあった。果たして地質学者は、どのような捉え方をするのだろう。環境要因として砂鉄がなければ火縄銃は生まれなかった、というのは容易に想像できる。

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