2か月ちょっと前に次男の卒業式に高校を訪れた際、警備員さんに「午前と午後に分けて行いますので」と言われて、COVID-19対策のために全日制の卒業式を2つに分けて行うものかと一瞬誤解した。しばらくして、午後に行うのは定時制の卒業式だと気づいた。
長男、次男が通った高校は、(世間の)学校の評価指標のひとつに「東大合格者数」という下世話なものがある。しかし、今年あたりの結果を踏まえると『(東大が入試の選抜方法を変えない限り)もう私立中高一貫校にはかなわない』という結論を出し、学校の位置づけまたは生徒の指導方針を変えていくべきではないかとも思う。具体的には「中位から下位の底上げ、または拾い上げ」である。
というのは、在学中はただの落ちこぼれだった長男が、一年間、面倒見のいい予備校に通った結果、それなりの国公立大学に合格したからである。当時、学校の指導方針が、はた目には東大志望の子供らに照準を合わせ、そのカリキュラムについてこれない子供たちは見捨てられているように映った。私はその時、「先生たちは定時制の子供たちの指導もあるので、忙しいのだろう」と思っていたが、妻が言うには全日制と定時制の担当の先生は別だろうと言う。
題記「チーズバーガーズ」(講談社英語文庫)には文盲の配管工が50歳を過ぎてアルファベットから文字を習う話がある("The ABC’s of Courage")。文庫本の発行は1989年であるが、メリル・ストリープが35歳の頃のインタビューも含まれているので、1984年かそれ以前のエピソードだろう。江戸時代ごろから識字率が高かったとされる日本人にとっては、あまりなじみがない話かもしれない。
また、最近の定時制高校に通う子供らの背景、事情は異なるかもしれない。しかし、文盲の配管工が文字を習おうとする意欲、学ぶことの楽しさなどを再確認する上では題記の短編は有益かも知れない。ということでまた、英語のサイドリーダーの話になってしまったが、題記の作品は、長男の時にはあったけど、次男の時にはなくなった1冊です。定時制が併設されている全日制高校の生徒達には、リーチアウトして理解しておいてもいい情景のひとつではないかと。
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